個人情報ほご自治会

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「消費者団体訴訟制度」について

あっちでも書きましたが、「消費者団体訴訟制度」について考えてみたいと思っています。制度の内容は以下の消費者庁の説明をご覧ください。

 

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_system/

 

さらに丸写しします。

 

「内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者に代わって事業者に対して訴訟等をすることができる制度をいいます。
民事訴訟の原則的な考え方では、被害者である消費者が、加害者である事業者を訴えることになりますが、1消費者と事業者との間には情報の質・量・交渉力の格差があること、2訴訟には時間・費用・労力がかかり、少額被害の回復に見合わないこと、3個別のトラブルが回復されても、同種のトラブルがなくなるわけではないことなどから、内閣総理大臣が認定した消費者団体に特別な権限を付与したものです。
具体的には、事業者の不当な行為に対して、内閣総理大臣が認定した適格消費者団体が、不特定多数の消費者の利益を擁護するために、差止めを求めることができる制度(差止請求)と、不当な事業者に対して、適格消費者団体の中から内閣総理大臣が新たに認定した特定適格消費者団体が、消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる制度(被害回復)があります。」

 

なかなか良い制度です。上記には書いていない条件がある(後述します)のですが、個人情報保護法のオプトアウト手続きの不備やその他もろもろと組み合わせれば、不可能ではないような気がしますが・・・どうなんでしょう。仮に今の制度では不可だとしても、将来的には可能にできるよう取り組んでいくべきではないかと思います。

 

この制度に関する「適格消費者団体」のリストは以下です。

消費者団体訴訟制度(団体訴権)の紹介_国民生活センター

 

消費者団体は先日の個人情報保護法改正の大綱に対するパブリックコメントでも、消費者に寄り添う立場の意見を沢山出してくれています。私が知らないだけで裏で進んでいたらいいんですが、相談する価値はあるように思います。

 

さてその「条件」ですが、なんでも対象になるわけではありません。ウィキペディアをコピーします。

「訴訟や訴訟外の請求の対象は、当初消費者契約法に違反するものに限定されていた(不当な契約条項、不当な勧誘)。その後、2009年4月には景表法違反の行為のうち表示に関する違反(優良誤認表示)が、2009年12月からは特定商取引法法第五章二に規定される「訪問販売」(不実告知等、クーリング・オフ、過大な違約金)「通信販売」(不実告知等)「電話勧誘販売」(不実告知等、クーリング・オフ、過大な違約金)「連鎖販売」(不実告知等、クーリング・オフ、中途解約条項)「特定継続的役務提供」(不実告知等、クーリング・オフ、中途解約条項)「業務提供誘引販売」(不実告知等、クーリング・オフ、過大な違約金)に関しても、適格消費者団体は差止め請求ができるようになっている。従って、何に対してでも差し止め請求を行えるわけではない。例えば一般的な企業活動への訴訟は起こすことはできない。」

という感じです。対象はけっこう限定されております(年々拡大方向です)。ただ例えば、同意なきままサイトに個人情報を載せて削除に金銭を要求、支払わなかったら削除しないというのは「不当な契約条項」になるように思います。あるいは、データベースを公開する行為=通信販売とみなすとか。そこはこじつけでもいいじゃないですか、と思ったり。まあ当然相手を特定しなければ訴訟はできませんが、その前段階までは進められます。「裁判外の交渉」と「書面による差し止め請求」です。運営者を特定できれば訴訟へ進められます。そして勝訴すれば、あとは消費者団体から消費者(被害者)へ裁判手続き参加が呼びかけられ、債権額が確定します。被害者は消費者団体が勝訴してから参加でき、支払額はその人数によって増えるという素晴らしいシステム。仮に被害者200万人なら、ひとり100円でも2億円。事業者ガクブルです(※追記。慰謝料請求に関しては、法文に明記されていないものの実質的には除外されているようです。なので、前記のような2億円とかの計算にはたぶんなりません。金銭という意味では全額返金が上限でしょうか)。なので、準備を進めるだけでも威嚇にはなると思います。

 

詳細は以下資料を。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_system/public_relations/pdf/public_relations_190731_0002.pdf

 

「たまたまネットで自分の名前を検索したら変なサイトに載ってて、会社の連絡先の表示などが何もなくてどうしたらいいか全くわからなくて、とりあえずフォームがあったのでそこから削除してくださいって連絡したら、お金払えば消しますという返事がきてはやく消して欲しいしそれ以外の質問には返事こないし焦って支払ってしまった。その後になって色々調べたら違法(個人情報保護法違反、私に事前の断りもなく勝手に第三者提供している。その場合はオプトアウト手続きが必要なのにやっていない業者だった)かつ不当な請求だとわかった。業者は詐欺ではないと言っていたので信じてしまったが、返金して欲しい。」というストーリーかなあと思ったりします。

 

あるいは、サイトを見ただけで契約が成立したとされ、不当に埋め込まれたマイニングによって消費者のリソースを無理矢理搾取された・・・とか。

 

万一今は無理だとしても先のことを考えると、個人情報晒しサイトをこの制度の適用対象にできる道を開くこと、あるいは同様の制度を構築することは、活動目標のひとつにして良いと思います。

 

(追記)国民生活センターの説明を貼っておきます。

消費者団体訴訟制度(団体訴権)の紹介_国民生活センター

「差止請求」と「被害回復」の二つ種類があり、それぞれ以下の説明です。

「差止請求」は、事業者の不当な勧誘や契約条項に対して、適格消費者団体が不特定多数の消費者の利益を擁護するために、停止を求めることができる

「被害回復」は、事業者の不当な行為によって財産的被害が生じている場合に、特定適格消費者団体が、消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる

 

差止請求に関してはちょっと微妙かもですが、被害回復は使える可能性があると考えます。削除のために仮想通貨を支払ってしまった人は、そもそもその「契約」自体が無効である(個人情報保護法+消費者契約法に基づく)から後者の「被害回復」=返金請求ができるのではないか、というのが私の主張です。当然1万円や2万円でも大切なお金ですし、不当な契約であればきっちり返してもらうべきです。また、そのような請求や契約は無効である、という判決を得ておくことは今後の類似サイト発生の抑制に繋がります。先にも述べたように相手が特定できないと裁判はできないでしょうが、その前段階まで準備を進めておくことは可能だと考えます。