個人情報ほご自治会

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個人情報保護委員会の公示送達とは

続きます。今回の改正案では、「公示送達」という単語が出てきます。あまり聞きなれない言葉ですね。Wikiをコピペします。

 

「公示送達(こうじそうたつ)とは、相手方を知ることができない場合や、相手方の住所・居所がわからない人、相手方が海外に住んでいてその文書の交付の証明が取れないときなどに、法的に送達したものとする手続きのこと。」

 

これは、民事訴訟法上の救済措置として設けられている方法で、最後の手段として取られる場合があるようです。昨年12月に公表された、個人情報保護法改正大綱でも、ちょっとだけ出てきます。 

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/200110_seidokaiseitaiko.pdf

 

上記資料の30ページ目、外国事業者に対する執行に関する文章の中です。以下に転記します。

 

「しかしながら、仮に、外国の事業者に本法の義務規定に違反する行為があると認められ、指導・助言又は勧告を行っても改善されない等、より強力な措置をとる必要がある場合には、委員会が、個人情報保護法に相当する外国の法令を執行する外国の当局に対して、相互主義の考え方の下、その外国の法律に基づく執行の協力を求めて(法第78条)、実効性を確保することとなっている。

(略)

併せて、内外の事業者に対して実効的に権限を行使し、かつ、適正手続を担保するため、領事送達・公示送達等の送達に関する手続を具体化する。」

 

大綱の中で公示送達が出てくるのはここだけです。このちょろっと触れただけにも見える文章が、どうなったか?改正案では以下の条文が記載されています。29ページの該当部分をコピペします。

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/200310_sinkyutaisyohyou.pdf

 

(公示送達)
第五十八条の四
個人情報保護委員会は、次に掲げる場合には、公示送達をすることができる

 

!民事訴訟で用いられる公示送達を、個人情報保護委員会の名の下に「することができる」と明確化しています。次に掲げる場合とは?そのうちのひとつをさらにコピペします。

 

・送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合

 

受けるべき者、とは?そこは「行政指導及び命令を行う対象」ということだと考えます。対象者の居所が知れない場合でも実効力を確保する手段(聞いてません、伝わってませんを防ぐ為)として、現行法の下で使える手段として公示送達に目を付けたということでしょう。当然ながら、居所が判っている事業者に対する影響は一切なく、明らかに違法不法な輩に対する条文です。居所を隠していても、公示送達されると指導命令を行った、という結果が残ります。それに従わなかった場合違法となり、強化された罰則が適用されることになります。

 

ではどうやってやるのか?方法も記載されています。

「公示送達は、送達をすべき書類を送達を受けるべき者にいつでも交付すべき旨を個人情報保護委員会の掲示場に掲示することにより行う。」

 

個人情報保護委員会の掲示場とは?ホームページを想定しているのでしょうか。あるいは裁判所の掲示板でしょうか。そこはちょっとわかりません。

 

ここは今後の審議の中で間違いなく異論が出てくると思います。なにしろ民事訴訟法上での手続きを行政委員会が行えるようにするわけですから。乱発される懸念はないのか?とかそういう話にはなるのではないでしょうか。反対する者が対象を厳しく限定制限してこようとする可能性は考えられます。しかしここは個人の立場からは、骨抜きさせず絶対に残さないといけない部分だと考えます。これをしっかり残さないと、いくら罰則だけ強化しても実効力が担保できないのではないかと。