個人情報ほご自治会

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法律の目的・趣旨と潜脱行為

法律が作られるときには、当たり前ですが必ず目的が存在します。それをわかりやすく説明するために、最近成立した法律の多くは、第一条に目的規定又は趣旨規定を置いているのだそうです。目的規定とは「その法律の制定目的を簡潔に表現したもの」で、「趣旨規定」とは「法律の内容を要約したもの」とのこと。参議院法制局ホームページより

今回改正法案が成立した「個人情報の保護に関する法律 」ですが、こちらもやはり第一条に目的が記されています。以下に転記します。

 

第一条 この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。

 

産業経済など色んな配慮はするけれども、目的は「個人の権利利益を保護することだよ」としっかり書いてあります。そして今回の法改正でも、この第一条には手を付けられていません。つまり、法の目的は改正前後で全く変わらないことを意味します。

  

今回の参議院内閣委員会で、改正により追加された第十六条二「個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない」について、具体的にどういう行為が該当するか、という質問がありました。それに対して、ある行為が該当する旨の答弁がありました。

 

このことが意味するのは何か。そのある行為は「今まで合法だったけどこれからは違法になる」では決してありません。「今までもそしてこれからも、法の目的・趣旨に反している」です。ですから今後いくら抜け道を探したとしても、そもそも「根底にあるもの」が法の目的趣旨に反している以上、それは悪質で反社会的な潜脱行為に他ならないのです。