送信ボタンを押す前に
インターネット掲示板で投稿するときは、パソコンやスマホで文字を入力し、送信ボタンを押すことで完了します。たったそれだけで、一瞬のうちに載ります。それが適当に書き殴ったくだらない文章であっても、見た人を傷つけるような心無いものであっても、関係ありません。あまりに簡単で便利です。だからこそ恐ろしい、と思います。
ほんの数十年前までは、遠く離れた人とのやり取りは「手紙」が主な手段でした。選んだ便箋に丁寧に文字を書き、間違えた時や内容が気に入らない場合はそこだけ修正などせず、何度も最初から書き直したことと思います。相手の名前を書くときは特に気を遣って丁寧に書いたことでしょう。
そうやって一生懸命書いた手紙であっても、相手が捨ててしまえば消滅します。原本はこの世に一通しかないわけです。しかしネット掲示板への投稿はそうはいきません。対象者だけでなく、不特定多数の人に閲覧されてしまいます。そして投稿者の意図とは無関係に、他のところにコピーされ拡散していく可能性があるものです。投稿者は、果たしてそんな可能性まで考えたうえで、覚悟を持って投稿したのでしょうか?大半はそうではないと思います。軽い気持ちで、あるいはその場の感情の高ぶりで投稿した内容が拡散され炎上する。被害者は甚大な損失を被り、一方で投稿者は特定されて晒し者となり人生を棒に振る。一体、誰が得したのでしょう。面白がって炎上させた第三者?その人が、次の被害者にならない保証がどこにあるのでしょう。
送信ボタンを押す前に、それを送信することで「何が起きると予想されるか」を考えるよう心掛けたいものです。