個人情報ほご自治会

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5/22_衆議院内閣委員会質疑まとめ_②

引き続き、5/22「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」の「内閣委員会」質疑のまとめです。個人的に消費者目線から気になった点のみ抽出しまとめています。※法改正に関連する質疑のみ。また、私個人の動画聞き取りに基づきます為、聞き間違いの可能性があります点はご了承ください。

 

②太田議員(公明党)

Q:改正案では、利用停止消去等の個人の請求権について、現在の要件を緩和する等、個人の権利を強化する措置が盛り込まれている。一方で、データの利活用を促進する措置としては何が盛り込まれているのか。

A:現行法で利用停止消去を請求できるのは、データの不正取得があった場合に限定されている。一方で消費者からは本人が望まない形で個人情報が利用されているが、事業者が利用停止に応じないという不満や意見が多く寄せられた。そこで、委員会では本人の関与を強化する必要があると考えた。そこで、現行法の要件に加え、①事業者が利用する必要が無くなった場合、②保有個人データの重大な漏えいが発生した場合、③本人の権利又は正当な利益が害される恐れがある場合、についても利用停止・消去・第三者提供の停止を請求できることとしている。③の例としては、本人の意思に反してDMが繰り返し頻繁に送付される場合が考えられる。今後わかりやすい形でガイドライン等で解説していく(※ちょっと回答がずれていて、データの利用活用の促進については答えてないような気が。)

 

Q:消費者視点から。現行法では利用停止・消去の要点と、改正法案での要点の違いを、わかりやすく説明して欲しい。

A:前の回答とほぼ同じ。

 

Q:本法案には、違法又は不当な行為を助長する等の不適正な方法によって個人情報を利用してはならない旨を明確化するとの内容が盛り込まれている。これは個人に配慮した内容である。一方で事業者側からは抽象的に感じられ、個人情報利活用の委縮効果を招く懸念がある。委員会が想定する事例を示すか、委縮させないような取り組みを行うべきと考えるが、委員会としての考えは?

A:この改正はこれまで委員会が対応してきた事案を踏まえたもの。これは、個人情報保護法上では違法ではないとしても、個人の権利利益の保護に照らして見過ごせない(?)ような方法で個人情報が利用されているケース。これを踏まえ、本法案では「違法又は不当な行為を助長し、又は誘発する恐れがある方法による個人情報の利用を行ってはならない」ことを明確化した。具体的な例としては、①違法行為を営む事業者に個人情報を提供するケース、②裁判所による公告等により、散在的に公開されている、しかし差別を誘発される恐れがあるような個人情報について、集約化してデータベース化しインターネット上で公開するようなケースが考えられる。今後、ガイドライン等によって想定される事例を具体的に示していく。

 

⇒5/22の個人的ハイライトのひとつがこの答弁ですね。

 

Q:情報漏えいについて。委員会への報告義務を課す場合の具体的な要件は?

A:漏えいした個人データの性質、漏えいへの対応、規模等複数の観点から定める予定。具体的には、要配慮個人情報、不正アクセスによるもの、経済的な損失を伴う恐れのあるもの、これらに該当しなくても一定数以上の大規模漏えい、など。

 

Q:域外提供について。法改正によって、GAFA等の外国事業者に対して命令や強制的な報告聴取等を実効力を伴うものになるのか?

A:外国事業者に対しても委員会からの報告聴取命令ができるようになる。違反した場合には罰則の適用もあるが、日本の当局が外国で立ち入り検査や取り調べを行うのは困難な場合もある。そのような場合に備え、事業者が命令に違反した場合には、委員会がその旨を公表できることにしており、公表によって命令の実効性を担保している。また、法律上、外国当局との執行(?聞取りできず)もできることになっており、このようなツールを使って監督の実効性を上げていきたい。

 

⇒「公表」でどこまで実効性を担保できるか疑問が残ります。どこまでやれますか。

 

さて、今回の質疑では、改正法案十六条の二「個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない」に抵触する具体例として、「裁判所による公告等により、散在的に公開されている、しかし差別を誘発される恐れがあるような個人情報について、集約化してデータベース化しインターネット上で公開するようなケース」が紹介されました。このあたりは実際にもっと具体的な内容でガイドラインやQ&Aに記載されることになると思われます。更に言えば、某事件対策のひとつがこの「十六条の二」であることを委員会は明言したわけです(主観)。今後の討議等では、具体的にどういう手段で事件解決や類似事件の発生抑制を考えているのかを提示(内閣委員には質問)していただきたいところです。この改正法案を「やることはやった(けどダメでした)」という委員会の言い訳に使わせる訳にはいきません。「こういう対策をしたいんだけど、現行法では難しいんです⇒法改正⇒これで動ける!」なら良いですが、単に「法を厳しくすれば手を引くんじゃね?」では失敗すると思います。言いにくいこともあるとは思いますが、前者であることを示して欲しい所。