個人情報ほご自治会

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5/22_衆議院内閣委員会質疑まとめ_①

先週始まったばかりの「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」の「内閣委員会」質疑ですが、いくつか消費者目線から気になった点をまとめておきます。※法改正に関連する質疑のみ。また、私個人の動画聞き取りに基づきます為、聞き間違いの可能性があります点はご了承ください。

 

①牧島議員(自民党)

Q:これまでの取り組みについて(Facebook(ケンブリッジアナリティカ)・リクルートキャリアの問題)

A:Facebook社に対して指導を行った。また同社の副社長が委員会に来訪し、改善策についての説明を行った。他の外国の企業についても必要に応じて相手国の規制当局と連携して事業者に適切な対応を求めてきた。リクルートキャリアに対しては勧告を行った。その他、相談ダイヤルに寄せられる情報等、さまざまなチャンネルでリアルな情報把握に努めており、個人の権利利益が守られるよう機動的な監視監督活動を行っている。

 

Q:昨年12月のパブリックコメントでは、どのような意見があったのか?

A:消費者や財界、法律専門家など889件の意見を貰った。大きな方向性については、賛同する意見が多かった。一方、企業実務との関係では、規定の内容を個別具体的に知りたいという要望を貰った。例えば、個人の権利を強化する方向の論点については、消費者からは賛成の声が多かったが、企業からは負担について一定の配慮をして欲しい、該当する要件の明確化をして欲しいという声があった。

 

Q:日本とEUの個人データ移転に関する取り組みについて

A:日本とEUは互いに個人情報の保護について同等レベルにあると認識している。

 

Q:(仮名加工情報についての質問中)個人データの取り扱いで、正当な利益が害される恐れがある場合などは、個人データの利用停止を求めることができるのか?

A:現行法では、個人情報の不正取得など違反行為があった場合に限定される。しかし改正法では、これに加えて①事業者が利用する必要がなくなった場合、②保有個人データの重大な漏えいが発生した場合、③本人の権利又は正当な利益が害される恐れがある場合についても、利用停止・消去・第三者提供の停止請求ができると規定している。具体的なケースについては、今後ガイドラインやQ&Aで提示していく。

 

Q:個人データ漏えいが発生した場合、委員会はどう対処するのか?

A:個人の権利利益侵害が大きい事態については、委員会への報告を義務付ける。必要に応じて報告聴取や立ち入り検査などを行い、再発防止を確認する。事業者に対しては本人への通知を義務付ける。これにより、本人においても権利利益の保護に必要な措置を取ることが可能になると考えている。

  

Q:個人情報保護委員会の体制整備について

A:外国事業者への対応、国際交渉など、対応できる職員の確保育成が急務になっている。

 

個人的には、Facebook社の副社長を呼びつけて事情説明させたときの内容を公開して欲しいですね。総務省の漫画村事件に関するGoogle社の話は非常に興味深い内容でしたから、たぶんFacebookからも消費者があまり知らないような話が出てきたのではないかと思います。以上、全体に丁寧な質問だと感じましたが、基本的には委員会側が冒頭に言いたいことを言わせてあげた、前口上的な感じでしょうか。

 

まとめとしましては、消費者からの意見も取り入れた改正法案ですよ、ということを委員会はここでは述べています。ただし一方で事業者への配慮もにじませています。個人的には、この法案が閣議決定してから2か月以上経ち、その間にいっそう消費者の権利利益の保護の必要性が高まってきているのを感じています。例えばもっと罰則を強化すべきではないかと考えます。続きます。

 

(追記)

この法案が成立し施行されても(それも2年後の見込みですし・・・)、この法律単体で今起きている問題が急に根絶することはないと思います。ですが、外堀のひとつであることは間違いないと考えます。総務省が取り組んでいる開示請求の簡素化、GAFA規制などもそのひとつでしょう。後は法務省も何かないの?とは思いますが、最近起きている事件等の絡みで今後流れが起きてくるのではないでしょうか。今後の審議を通じ、改正法案の不十分な点や補強すべき点などが明確化し、あるべき姿により近づいた形に修正されたうえで成立してほしいと思います。