個人情報ほご自治会

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官報に記載された個人情報について

 先の記事では「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」をご紹介しました。これは「個人情報保護委員会」が発行しているガイドラインなのですが、Q1-45-2に以下の記述があります。

 

[Q1-45-2] インターネット上等において不特定多数の者が取得できる公開情報(一般人・民間企業が公表している情報だけでなく、官報等公的機関が公表している情報を含む)を取得し、新たに特定の個人情報を検索することができるように構成したデータベースを作成した上で、不特定多数の者が閲覧できるようにすることはできますか。


[A1-45-2 ]公開情報であっても、生存する個人に関する情報であって特定の個人を識別できる情報(他の情報と容易に照合できる場合を含みます。)は、個人情報に該当し、このような情報を集めて、新たに特定の個人情報を検索できるように作成したデータベースは、原則として、個人情報データベース等に該当します。
したがって、事業者の規模にかかわらず、これを事業の用に供している場合は、個人情報取扱事業者に該当するため、利用目的の通知又は公表が必要となります(法第 18 条第1項)。
また、このような情報を不特定多数の者が閲覧できるような状態に供する行為は、第三者提供に該当し、原則として本人の同意が必要になります(法第 23 条第1項)。
(令和元年6月追加)

 

 上記は、2019年6月に追加されました。同年3月には破産者マップ事件が発生し、5月には5ちゃんねるへの大量投稿事件が起きました。これら事件を受け、対応策を強く意識しこのQ&Aが追加されたというわけです。ガイドラインは法律ではありませんが、法律をこう解釈すべき、という国の「指針」といえます。つまりガイドラインに違反することは、法律に違反することと同等とされ、行政指導や行政命令を受ける可能性があるわけです。第23条違反は、助言や勧告だけでなく、緊急命令や罰則(6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)まで存在します。罰則が緩すぎると感じられますが、世界的にも個人情報の漏洩等に対する罰則は強化される方向ですので、令和2年に予定されている個人情報保護法の改正では罰則強化される可能性はあります。

 

 いずれにせよ、官報で公開されたことを理由に、本人の許可なく名前や住所を公開する行為は個人情報保護法ガイドラインに抵触します。官報に掲載された個人情報なら、一般に公表されたものだからと法務省の人権部署も見放すようなものでは決してありません。特に警察等の行政に相談なさる場合は、その点もしっかり説明なさると良いかと思います。