個人情報ほご自治会

インターネット初心者が、ネットに溢れる悪意と戦う為の知恵を共有する場所

ブロッキングについて考える①

 悪質なサイトの防弾性が高すぎ、落とすことが大変困難である、という場合の有効な措置として考えられるのが「ブロッキング」です。もしこれが行われれば、Google検索からも容易に除外され、被害の大半は防げると思われます。では、何故行われないのでしょうか。被害者からのそのような声はとっくに届いているはずですが・・・色々考えられる理由はあると思いますが、この問題を考えるときに参考になるのは、やはり漫画村関係の事件です。まずは以下をご覧ください。

 

海賊版サイトのブロッキング、業界団体から懸念続々 「通信の秘密を侵害」「検閲に当たる恐れ」 - ITmedia NEWS

 

 上記記事時点(2018年4月11日)でも触れていますが、児童ポルノ事案では既にブロッキングは行われています。その担当は、「インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)」です。下記のように、リストの情報源は「インターネット・ホットラインセンター(IHC)」であるとの記載があります。

 

児童ポルノブロッキング | 一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会 - ICSA

 

 児童ポルノの場合は、ブロッキングの業務フローが明確にされています。先の記事にもありましたが、検討開始から実施まで2年の時間を要したとのことです。そして意外なことに、このブロッキングリスト作成を担当している上記ICSAが、漫画村などの海賊版サイトのブロッキングには反対する声明を出しています。理由は上の記事に細かく記載されておりますが、まあ色々と難しいというか面倒くさいのね・・・ということは判ります。あっちを立てるとこっちが立たなくなる。日本で話が進まないときによくある話なのかなあ、という気はします。

 

 さて、名誉棄損あるいは個人情報保護に関して過去にブロッキングが検討された例があるのか、または現在検討しているのかどうかは不明です。ただ、専門家でも著作権侵害より名誉棄損のほうがブロッキング実施へのハードルは低いと考える方はおられるようです。(どこかで見ましたが失念。そのうち探します)将来的に名誉棄損事案や個人情報漏洩事案に対するブロッキング実施が必要となってくる可能性は、十分あると私は考えています。※もちろん今すぐにでもやって欲しいのですが、もう適切なタイミングは逃してしまった、とも思います。

 

 例えば、機微個人情報がどこかから漏れて、サイト上で公開される可能性だってあるわけです。医療機関からカルテが洩れ、スキャンがネットにアップされたら?裁判資料や捜査資料・・・今可能性が低くても、資料のデジタル化やクラウド化はどんどん進んでいきます。思わぬところから情報が漏れる可能性はあると思います。それがサイト上で公開され、そしてそのサイトが停止できなかった場合・・・取れる手段の一つとしてブロッキングの可否及び範囲を早期に検討しておく、そして担当を明確化し業務フローを作成しておく。行政として必要な仕事だと考えます。そして児童ポルノの例に沿うならば、実施されるとしてもそれなりの準備期間は覚悟しなければならないと思います。それでも、可能性に備えて検討させることは必要です。

 

 なお、私は過去にICSA宛に「名誉棄損でのブロッキング検討を要請するメール」を出しましたが、「うちでは扱っていない」との回答だったことを最後に付け加えておきます。