個人情報ほご自治会

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2/28迄:「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」の一部改定案に係る意見募集

ツイッターでも書いてますが、主題の件について意見募集が始まってました。

詳細は以下を参照ください。

 

https://www.telesa.or.jp/information/news/topics/13497

 

ただ、ガイドライン全体の改定ではなく、要点はたった2つに絞り込まれています。

まずガイドラインの資料はこちら。pdfファイルです。長いです。

 

https://www.telesa.or.jp/wp-content/uploads/provider_hguideline_20200203_7thdraft.pdf

 

長いのですが、親切なことに今回の改訂案箇所が赤字になっています。その部分の説明も書かれていまして、以下の通りです。

 

<改訂箇所>
①6ページ:代理人弁護士が開示請求を行う場合の確認資料について、

「ただし、弁護士が代理人となる場合は、通常委任状を相手方に提示する慣行はないことから、委任状の添付は不要である。」との記載に関し、プロバイダ等によっては委任状の提示を求めているため、委任状についてはプロバイダ等の判断により必要となる場合があるという文言を追記することとする。


②6ページ 注5:プロバイダ等が訴訟提起されたときに、保全要請に応じて定めた発信者情報保全義務の期間経過後も引き続き保全義務が継続する旨を追加することとする。

 

さて、素人考察です。がちの素人なのでおかしなことを書くかもですがご容赦ください。

 

まず①は、プロバイダ側のポリシーというか事務手続き上の話に近いので、あまり深く考える必要はないと思います。

 

問題は②のほうですね。この項目はけっこう重要です。上記ページの少し前から抜粋します。

 

3 発信者情報の保有の有無の確認
(1) 法4条では、開示の対象となる発信者情報はプロバイダ等が保有するものに限られ
ている(1項)。そこで、プロバイダ等は、開示を請求されている発信者情報を保有し
ているか否かについて、速やかに確認することとする。
(2) プロバイダ等が確認した結果、当該発信者情報を物理的に保有していない場合又は
発信者情報の特定が著しく困難な場合には、請求者に対し、発信者情報を保有してい
ないため開示が不可能であることを書式⑤により通知する。

 

まあ書式⑤とかは資料に記載ありますので、そちらを参照していただくとして。この文面で重要なのは、開示請求されたとき、プロバイダ側は発信者の情報が自分のところにまだ残っているかどうかを速やかに確認し、無ければ無いと言わなければならないということです。そうでなければ、情報がないのに無駄な裁判を経てしまう可能性があるわけですね。(余談ですが、某マップのときは果たして間に合ったのか?という点は気になります。サイト停止から仮処分申請?まで、けっこう時間経ってましたからね。サイト停止が3月下旬で訴訟してます宣言が8月として、推定5ヶ月=150日。遅すぎて情報が残ってなかった可能性があります。ただし、前記の文言からすると情報が無ければ無いと言わなければならないので、仮処分申請が実際に行われたならば、それは何らかのデータが残っていたことを意味します)ではコピペを続きます。上記に関する注釈の部分です。これが今回の改正案の部分です。長いです。

 

前掲注4のとおり、請求者から、発信者情報開示請求に先立ち、発信者情報を消去しな
いよう保全要請がなされる場合がある。このような場合には、保全を要請する者から、保全を必要とする発信者情報を特定する情報及び当該やむを得ない事情を記載した書面、本人性を確認できる資料並びに特定電気通信による情報の流通によって自己の権利が侵害されていることを証する資料(その時点で添付可能な資料)が提出されて保全要請がなされた場合であって、プロバイダ等が当該書面により発信者情報を保全することが合理的であると判断したときは、プロバイダ等は、合理的期間を定めて例外的に発信者情報を保全できるものと考えられる。
なお、上記合理的期間を定めるに当たっては、発信者情報消去禁止の仮処分が裁判所に
申し立てられた場合においては、一般的な実務として、発信者情報開示請求訴訟が和解成立日から60日ないし90日以内に提起されることを前提に、その期間内に限り発信者情報を保全することを和解条件とする事例が多いことが参考となる。
そして,当該合理的期間内に発信者情報開示請求訴訟が提起された場合には、請求棄却
判決が確定するまでの間又は認容判決に基づき開示が行われるまでの間、保全を継続することとする。

 

えー詳しくは上に書いてある通りなんですが、今までは訴訟が何らかの理由で遅れたり長引いたりしたときに、証拠が期限切れとして破棄されてしまう場合があった、という風に読めます。そういうことですよね。それはダメだよ、ちゃんと判決が確定するまでは証拠保全を継続しなさいよ、っていう改定です。これは訴える側にとって有利な改定だと思います。棄却というのが一審だけの話なのか、控訴上告まで含めてなのかは私はよくわからんのですが、今回の意見募集では「支持します」とだけ書いて送ればいいのかなあと思います。ついでに60日から90日ってのを長くするべきだ、って出しておけば良いのではないかと。以上です。